2017年9月8日金曜日

【読書感想文】燃え殻「ボクたちはみんな大人になれなかった」を読んで

なりたいものが、具体的にあったわけではなかった。ただ『人と違う』という明確な状態が自分に不可欠だと思い込んでいて、それが自分と他人を区切るための境界線となることを、強く意識し過ぎて生きていた時代があった。

人と違う音楽を聴きたい。
人と違う映画を見たい。
人と違うものを読みたい。
人と違う雑貨を持ちたい。
人と違う服や靴を身に着けたい。
人と違う知識が欲しい。
人と違う才能が欲しい。
人と違う表現がしたい。

人と違うこれがしたい、あれがしたい。

自分というあやふやな存在を、もっと形のある物にしたくて焦ってばかりいた頃の『普通で平凡であること』への嫌悪感と恐怖と不安。それを紛らわせるために必死に人と違うことをするものの、日々の行動の終着点で完成する予定の、自分の未来の姿が全く見えない、不安定な時代。

私はここに居る

心の中で叫んでいた。やたらと手を出す行動の1つ1つは、分かりたくても分からないような、馴染めないような違和感を持ちながら。「こんなことしてる自分は凄い」と無理やり納得させていた。そんな時に、ふと出会った人に「あなたは凄いね」「あなたは面白いね」と嘘のない言葉で言われてしまったらどうだろう。この小説の冒頭のように。

見つけた

お互いにそう思って始まる出会いは、強烈な加速度がある。昔の自分の姿を思い出しながら、そんなイメージを膨らませていた。この小説は、そんなものが詰まっている。なんて恥ずかしいんだろう。よく書いたな、著者。

2017年7月6日木曜日

私が『ナンジャモンジャゴケ』という植物を知るに至るまでの軌跡

発端はどこだろう、友人と歩いていた時だろうか。そこを起点として話を始めよう。

ある日、友人と世話話をしながら道を歩いていたら、とある巨木が目に入った。木に何やらプレートらしきものが付いているので、友人が「あれなんて書いてあるの?見てくる」と、巨木に近づいた。私も自然に後をついていったのだ。

近寄ると、そのプレートには番号と自治体名と、保存樹木に関する記載のような物があったと思う。この文章を書いている今、そのプレートの内容についてはうろ覚えだ。友人は「なんだ、木の名前が書いてあるのかと思った。これは何の木だろうね?」などと残念そうであった。

その時、ふと思い出した。再び友人と歩き出して、その思い出した話をしながら記憶を掘り起こす。

私:「小学校の頃、学校から凄く近い場所に住んでいたサハラ君の家には、超巨大なケヤキの木があってな。それは区の指定を受けた保存樹木とやらに指定されてて、今の木みたいにプレートがついてたんだよ。家の敷地内にある木が保存樹木に指定されてしまうと、自治体の許可なしには切れなくなってしまうらしい。サハラ君ちのお爺ちゃんもお母さんも、木の枯葉掃除が毎年大変だし、木を伐りたがってたらしいんだけどね。保存樹木は大変だぞ。」

すると友人が、それを聞いてこう応える。

友人:「そういえば、クスノキっていう名前の喫茶店があってな。小金井公園の近くに。そこは店名そのままで、店の傍に物凄いデカいクスノキが生えている。樹齢何百年とかの、さっきみたいな巨木が。」

私:「そりゃ大変だ。管理が。」

そしてまた、私は思い出す。クスノキ!!嗚呼、そうだクスノキ。

私:「クスノキっていえばさぁ。洋服の虫除けで昔からショウノウって使うでしょう?樟脳。あれって昔は、クスノキから抽出して作ってたんだよ。クスノキには樟脳が成分として含まれているから、枝を折ったりするとあの樟脳の匂いがするんだよね。」

友人:「へえ!!そうなんだ、面白いね。そういえば樟脳の樟の字はクスノキって読むんだっけ。」

2017年6月15日木曜日

世界一優しい鬼畜

蛙兄さんの出て来る話って、ここに公開している文章だとコレか。

2003年7月4日『連れマジック』
http://poron-nu.blogspot.jp/2015/09/200374.html

2003年8月11日『最後の一人』
http://poron-nu.blogspot.jp/2015/09/2003811.html

まだこのブログには載せるのを見合わせたけど、昔テキストサイトだった時代の頃には、なんだかんだネタにした上に、なぜか蛙兄さんが私のサイトに日記寄稿していた覚えさえある。昔の職場の同僚。

嗚呼、思い出した。私が風邪をひいていて鼻声になっている時、暫く会話をした上で突然「マヨネーズと言え」と頼まれて、マヨネーズマヨネーズって言ったら『お前本当に鼻声だな!!!wwww』って何故かそこで爆笑された。マヨネーズという単語が、鼻声度を測るためのキーワードだったらしいんだけど。この軸のブレ具合?なんと表現すればいい。蛙兄さんの意味不明感。私は家に帰って鼻声で『マヨネーズ』を録音し、音声をWebサイトで公開しておいたくらいだ。

私が出産を控えて当時勤めていた職場を辞め、色々忙し過ぎて蛙兄さんとはここ10年くらい連絡さえ途絶えていた。SNSで最近ふと繋がって、そこからきっかけで酒を飲むことになった。インターネット凄いなぁ。夫とも元同僚なんで、昔は一緒に飲んだりしてたけど今回夫は子守で息子と留守番。

説明はここまで。蛙兄さんに聞いた「古式泳法での溺れた人の助け方」の話が面白かったので、後学のためにメモっておきたい。

「俺、古式泳法を習ってたんだよ昔。そこで教えてもらったの。溺れてる奴はまず、頭掴んで沈めるの。」

「…はっ?!沈めるって、水の中に??」

2017年6月5日月曜日

共通の敵

15年ほど前、休日の名古屋駅周辺を、一人でウロウロしていた日の記憶。

昼飯にミスドへ行った。当時、ミスタードーナッツは購入金額に応じてスクラッチタイプのポイントが印刷された券が貰えて、そのポイント数が溜まると景品に交換出来た。その景品がPinguだった時だ、私はあの愛くるしいペンギンのキャラクターが好きだった。

ミスドの景品欲しさにポイントが溜めたくて、食欲よりもやや多めのドーナツ2個+パイ1つという、ハイカロリーな炭水化物と油の塊をトレーに載せて、ホットコーヒーと共に空いている席を探した。

座った席の隣では、向い合わせで学生かと思われる若い女の子2人が喋っていた。

一人でスクラッチカードを削って、微々たるポイントに落胆しつつ、ドーナッツに手を伸ばした頃にそれは聞こえてきた。

「しずかちゃんってさ!!!本当にしたたかだよね!!!」

人様の会話に聞き耳を立てるとはなんと性悪、とも思うが至近距離なのでどうしても聞こえてきてしまう。私は一人で殺伐と「Pinguグッズ欲しい」と考えながらモグモグ炭水化物を食べている程度の暇さ加減だったし。

最初はオトモダチのしずかちゃんの悪口大会なのかと思ったのだが、どうも違った。かの有名な国民的アニメ、ドラえもんのしずかちゃんの話である。

「だって!しずかちゃんっていつも男としかつるんでないじゃん!」

「そうだよね、女友達居ないよね!!」

2017年6月4日日曜日

短編小説「形あるものはいつか壊れるから。」

「昔、付き合っていた人がね、後から振り返ると物凄い束縛野郎だった。いつも私の事を一番に考えてくれているのね!って、私も若かったから勘違いしてて。束縛する人と付き合うと最初は本当に『守らている』と誤解するんだよね。」

唐突に思い出した。まだ十代の頃だった自分の姿を。

「その、束縛野郎…って響きが下品だね。束縛君がね、事あるごとにアクセサリーをくれたりしたのよ。ネックレスとか指輪とか。当時は渋谷の道端で露天商がシルバーのアクセサリーなんか売ってて、安いのが簡単に買えたじゃない?そういう値段は高価ではないものなんだけど。あ、コーヒーもう1杯飲む?」

「飲む。」彼が空になったマグカップを差し出す。コーヒーサーバーからドリップした残りを注ぎながら、私はとりとめもなく話し続ける。

2017年5月15日月曜日

めぐすりこわい

いつからだろう。目に異物が入るのが怖くて怖くてたまらなくなったのは。

小学生の頃、自転車で坂道を滑り降りていた時に強烈な目の痛みを感じて、慌てて自転車止めて目をこすったりしたら、目の中からぽろっと虫が出てきた時だろうか。あの時は一人悲鳴をあげた覚えがある。

高校生になる頃、周囲でいわゆる『高校デビュー』をし始める人が多数居て、その一環として眼鏡からコンタクトレンズへと変えゆく友人が多数いた。私は幸い、裸眼で過ごせていたのでコンタクトレンズとは無縁の人生ではあるけれど。友人と共にファーストフードなどでダラダラ喋っている最中、ハードコンタクトレンズの友人が「目にゴミが!!!痛い!!!」と叫んで、突然目玉の上に載っているコンタクトレンズを外して、そしてまた目玉の上に戻すという一部始終を目の当たりにして。どんなホラー映画よりも私にとってはホラーだった。

目になんか!!入れるだなんて!!しかも自らの手で!!!

何と恐ろしい。

2017年5月7日日曜日

便器にウ〇コこびりつかせて大喧嘩

※過去にどこかで公開していたものの再掲です。再編集しました。
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若い頃は、本当にどうしようもない喧嘩を繰り返したものでした。

衝撃的なタイトルとともに始まりますが、タイトルそのまんまの話。いつも下品なお話が多くて申し訳ないけれど、とても昔の切ない恋愛ストーリー。

とってもとっても大昔、夫と出会うよりもっともっと前の頃、私は遠距離恋愛をしていた時期もあった。

関東地方住まいであった私は、貧乏旅行の定番である高速バスで6~7時間かけて、当時の彼の住む名古屋まで休みの度に都合をつけて一生懸命に向かっていた。

この事件の起きた冬休みにも、私は旅行カバン1つをひっさげて一人暮らしの彼の家へと行ったのである。しかし行った先では何をするでもなく、ゴロゴロしたり買い物したりコタツでテレビ見たりと、普通に過ごしていた。

東名高速大移動の向こうには、ただただ日常生活が待っている。

さて。そんな日常のとある日、私は便意を催す。人間だもの、アイドルだってするんだよウ〇コ。便意のビッグウェーブを精神力で押さえ込みながら、ムクリとコタツから立ち上がると、そこらにある新聞を持ってトイレに駆け込む。トイレで新聞読むタイプなんだな昔から。

2017年4月17日月曜日

pk(2014)【★★★★☆】

劇場公開を行きそびれて見逃していたら、名画座の早稲田松竹で上映していたので見れた。ラスト1回割引で800円で見れたぞお得であった。

>> 映画『PK』公式サイト
http://pk-movie.jp/

この映画の良さを説明するためには、ある程度のネタバレになってしまう。申し訳ない。読みたくない人気を付けて。

2017年4月2日日曜日

ラ・ラ・ランド(2017)【★★★★☆】

上映中、映画館で見た。

公式サイト
http://gaga.ne.jp/lalaland/

昔、どこかで見たネタで。タモリはミュージカルが大嫌いという話があった。『あいつら突然歌い出すだろう??あれ本当に俺ダメなんだ。普通に話せばいいのに歌んだよ?おかしいだろ。』わかる。ミュージカルは狂気だ。

気を付けて書くけれど、ネタバレしたくない人は以降読まない方がいい。

2017年1月31日火曜日

ウンコとブログの関係性について

先日、見事に罠にはまったがことく西野の絵本の無料公開関連のあれでプンスカ怒ってたんですけど。 お金の奴隷で悪かったなプンスカ!みたいな不毛なアレ。

分からない方はこちらをざっくり読むと、より深く感じ取ることができるのかもしれません。ていうかこちらのブログですべて事足りるので、以降の私の戯言なんか読まなくていいと思うんですけども。

キングコング西野の件は「炎上」では足りない - MistiRoom
http://mistclast.hatenablog.com/entry/2017/01/22/110637


冷静になった今、振り返ったり読み直したりしてみると、絵本は絵が綺麗で人気もあるし、個展も大盛況みたいで、作り方も映画方式って面白いし。好きな人は好きでいいんじゃね?と。本の無料公開なんて珍しい事じゃないしってのは先日もプンスカ怒りながらどこかで書いたけど。何が不愉快だったかといえば、あの西野のブログの文章だけ。ほんとそこ。

そんで西野のブログというのは、系統違えど与田翼みたいな『俺成功してるぜ』系なのは分かるんだけど、無意識なのか意識的なのかdisりがちりばめられてるので、話題になるツボ押さえてる。そして人を不愉快にする天性の才能も感じるくらいのものがある。

そんなことを考えていたら、ふと思い出したんですよ。

田口トモロヲを。