2015年9月18日金曜日

2003年5月19日『雨の日と月曜日は』

※過去にどこかで公開していたものの再掲です。
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Rainy Days and Mondays always get me down.

カーペンターズの歌にもあるように非常に憂鬱な朝でございます。いつもの時間のいつもの電車に乗ると湿度の高い空気がスーツに吸い付いて、体も気分も重くなること請け合い。

今日もトロトロと電車は走る。

私が通勤に使う黄色い電車は、なぜだかとてもつり革が少ない。山手線と比べたらいけないかもしれないけれど、つり革少ない。怒りを覚えるほどにつり革と手すりが少ないと思う。んで、カーブの多い路線なので滅茶苦茶揺れる。急な変速も多い。

会社の同僚は私がこれから書く話を話した時に、この電車について

「昔、テレビ番組でその電車使った企画やってましたよ。始発から終点まで手すりやつり革につかまらず、立ったまま耐えられたら賞品もらえる、みたいな。」

と、教えてくれた。そんな番組も撮れるほどに、ガタンゴトンとよく揺れるのである。

今朝の話である。



ギュウギュウ詰で息苦しい私やその他の乗客を乗せて、今日も電車は走る。キキー。いつものように急な減速。一つ隣のドアあたりで人がドドドドと動いていた。つり革・手すりが少ないために掴まる場所がないので、減速の時にかかる力で人が煽られ雪崩れのようになるのだ。誰かが転び、誰かにのしかかり、誰かがふんばり、誰かが支え。何事もなかったように体勢を立て直す大人たち。こうやってお父さん達は毎日がんばって会社に行っているんだぞと子供達に教えてやりたい光景。

私もふんばって、がんばって。今日もなんとか会社にたどり着くためにー。ファイトだ私、イケイケ私。

重苦しく不機嫌な空気に流されぬように自らを奮い立たせながら電車の揺れに耐えていた。キキー。また急な減速。ぎゃ、今度私のあたりが人雪崩れ・・・ドドドドドドドーーーー。私の周りの人々が20度くらいの角度をつけて倒れそうになっている。

わー、ちょっとまって、まって・・・・ぎゃっ!!!ツルリッ、ドスン。

倒れてくる人の重みに耐え切れず、それに加えて雨水で滑る床に足をとられて満員電車の中で尻餅をついた。見回せば一瞬のうちに景色が変わって足だらけだった。

急いで立ち上がろうともがくが捕まる場所もなく、足だらけの狭い空間は揺れる電車の影響で四方八方から圧力が容赦なくかかり、そう簡単に立ち上がれるものではない。絶望しながらもがいていたら、目の前にサッと手がさしのべられた。私の隣に立っていた中年サラリーマンだ。

窓を背にしているために逆光となってよく見えない顔であるが私には神に思えた。(↓記憶の断片図)

↑神。

迷うことなく、その手を掴んで満員電車の底から生還した。「ありがとうございました。」中年サラリーマンにお礼。「どうもすみませんでした、ごめんなさい。」周囲にお詫び。たまたま私の真後ろに居たOLさんと目が合った。OLさんはうろたえながらも「だ、大丈夫ですよ。大丈夫。」と小声で言った。

会社の人に話したら『踏まれなくて良かったね』と慰めてくれた。

揺れすぎ、西武新宿線。朝の通勤が地獄。

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