世界一優しい鬼畜

蛙兄さんの出て来る話って、ここに公開している文章だとコレか。

2003年7月4日『連れマジック』
http://poron-nu.blogspot.jp/2015/09/200374.html

2003年8月11日『最後の一人』
http://poron-nu.blogspot.jp/2015/09/2003811.html

まだこのブログには載せるのを見合わせたけど、昔テキストサイトだった時代の頃には、なんだかんだネタにした上に、なぜか蛙兄さんが私のサイトに日記寄稿していた覚えさえある。昔の職場の同僚。

嗚呼、思い出した。私が風邪をひいていて鼻声になっている時、暫く会話をした上で突然「マヨネーズと言え」と頼まれて、マヨネーズマヨネーズって言ったら『お前本当に鼻声だな！！！wwww』って何故かそこで爆笑された。マヨネーズという単語が、鼻声度を測るためのキーワードだったらしいんだけど。この軸のブレ具合？なんと表現すればいい。蛙兄さんの意味不明感。私は家に帰って鼻声で『マヨネーズ』を録音し、音声をWebサイトで公開しておいたくらいだ。

私が出産を控えて当時勤めていた職場を辞め、色々忙し過ぎて蛙兄さんとはここ10年くらい連絡さえ途絶えていた。SNSで最近ふと繋がって、そこからきっかけで酒を飲むことになった。インターネット凄いなぁ。夫とも元同僚なんで、昔は一緒に飲んだりしてたけど今回夫は子守で息子と留守番。

説明はここまで。蛙兄さんに聞いた「古式泳法での溺れた人の助け方」の話が面白かったので、後学のためにメモっておきたい。

蛙「俺、古式泳法を習ってたんだよ昔。そこで教えてもらったの。溺れてる奴はまず、頭掴んで沈めるの。」

私「…はっ？！沈めるって、水の中に？？」



蛙「そう。溺れている人は、何がなんでも誰かにすがりたいと思って、手当たり次第に掴もうとする。捕まれた相手はそのまま引き込まれて一緒に溺れる可能性がある。」

私「それは、なんか分かる。溺れた人の救助は後ろから、ってのはどこかで聞いたことあるけど。」

蛙「うん。古式泳法では、溺れている人を助けたいなら心を鬼畜にして相手の頭を掴んでぐいっと水の中に沈めてやる。そして『この人は助けてくれる人ではない』ということを思い知らせて、すがってくるのを諦めさせる。 そしてもがいて体力気力がなくなってきた頃を見計らって、正面からではなく後ろからそっと掴んで、引っ張って泳いで岸まで運ぶ。」

なんでこんな話になったのか、というのは話が深くなりすぎるのでここには書けないが。水難事故の話じゃなくて人間関係の話からの派生。

手当たり次第に助けを求めてくる極限状態の人には、一緒に引きずり込まれてしまうから、一度頭掴んで沈めて諦めさせないと、本人が自力で這い上がれない。というような話。

人間はどん底まで落ちてしまえば、もう這い上がるしかないっていう例えに通じるのだろうか。絶望した人間が、生を選んだ場合は強いのか。などと話を聞きながら一人で思考を巡らせる。

蛙「でもさ、これを人間関係でやろうとするには相当な鬼畜にならないと無理だよ。普通の人間には出来ないんじゃないの？」

世界一優しい鬼畜、というフレーズがその時思い浮かんで、今も脳裏から離れない。

結局、蛙兄さんとは酒を飲みながら6時間くらい居酒屋で話し続け、翌日酷い二日酔いになった。10年という間に、お互いの共通の知人が亡くなっていたり、よく知っていた夫婦が離婚していたり、もう会わない人の歴史を垣間見た。

オチが思いつかないので、これで終わる。